プーアル茶とは?
私が知っている知識ですがもし間違っていたら存分にご指摘ください。。
プーアル茶とは黒茶の一種で特定の産地の中で栽培された雲南大葉種(アッサム種の一種)から作られた晒青緑茶を原料として特定の工程を経て作られた黒茶のことです。
ここでいう、特定の産地とは(百度百科より引用)「雲南省内の昆明市、楚雄彝族自治州、玉溪市、红河哈尼族彝族自治州、文山壮族苗族自治州、普洱市、西双版纳傣族自治州、大理白族自治州、保山市、德宏傣族景颇族自治州、临沧市」などの11の地域のことです。それ以外の地域で作られたものはどんなに同じ製法で作っても黒茶には分類されますが「プーアル茶」と名乗ることはできません。そのため、たまにみる「国産プーアル茶」などと言うのはありません。わかりやすく言うと、「アメリカ産黒毛和牛」というのとほぼ同じくらい変です。
分類としては
お茶>黒茶>プーアル茶
という感じです。
また、前のページでも「黒茶は緑茶とほぼ同じ工程で作られる」と書きました。
緑茶の一種である晒青緑茶に「渥堆」(後発酵)という一工程を加えると「黒茶」になります。
そのため、この渥堆と言う工程がある元緑茶が黒茶の一種であるプーアル茶と言うことになります。
プーアル茶には、大きく分けて「生茶」と「熟茶」があります。
この違いは皆さんが思っている以上に大きく、全く別の飲み物と思ってもらっても良いくらいです。
そこには、「渥堆」の工程のやり方が大きく関わってきます。まず、当店で扱っている生茶から説明します。また、私は熟茶は普通に好みではないので当店では熟茶の取り扱いはありません。
また、茶葉の摘み方ですが、基本的に古樹茶は1芯3葉という摘み方が多い気がします。
すなわち、新芽の下に大きめの葉っぱが3枚付いているような摘み方です。
理由としては、古樹茶は樹高が高いため、また数が少ないため芽だけを摘むような茶摘みは手間がかかって仕方が無いし時期を逃してしまうため実質無理であるということです。
なので、茶葉は迫力のある大きい茶葉になっていることが多いです。
逆に見た目が良い新芽のみを摘んでいるようなお茶は、樹高が低い新茶園(台地茶)である事が多いです。いわゆる「宮廷プーアル茶」というのは芽だけのプーアル茶ですが、全てと言っては過言ではないほど台地茶であり熟茶であります。響きは良いですが、普及価格帯のお茶と言うことです。(もちろん悪いわけではなく、普及価格帯のお茶は普段飲み用として重宝されます。普通に10g1000円以上のお茶は普段飲みするのは難しいですからね)
プーアル生茶
プーアル生茶は晒青緑茶を蒸気で柔らかくして布に包み、プレスして丸く固めたものを言います。
この工程を緊圧と言います。
この緊圧工程で熱を加えたり、茶葉の細胞壁が破壊され後発酵の工程が始まったと見なされるため「黒茶」になります。なので、固めたばかりの新しいお茶はどう見ても緑茶のような感じです。
晒青緑茶というのは、他の緑茶と乾燥方法が違い天日干しで乾燥させた緑茶のことです。なので酵素が完全に失活していません。

冰島老寨の晒青緑茶
緊圧された生茶は年数が経つごとに酵素による反応や微生物による分解などが進み茶湯の色(水色)が
緑→黄色→茶色→紅色→黒色
と変化していきます。

貴夏直後のお茶(易武麻黒)
餅茶も緊圧直後は深みのある緑です。

緊圧5年目の昔帰のお茶。少しずつ茶色に変化している。
こちらは5年目。少しずつ茶色に変化しています。

2005の易武山麻黒のお茶
だいぶ飛んで19年目のお茶。黒になりかけている。

22年前の易武山の餅
22年前の易武山のお茶。上記のお茶よりさらに黒っぽくなっています。
特に芽の部分に注目するとわかりやすいです。
白から金に変わっていっています。
その長い長い陳年の工程も全て後発酵の工程の中に入っています。
どのタイミングで飲むかは各々の事由です。
とにかく、この後発酵を始めるという緊圧の工程が黒茶になる上でマストな工程です

熟成初期

黄色

茶色

紅色
初期のプーアル生茶は緑茶のように渋みと甘みが混在しており、年が経つごとに陳年香がついて行き角が取れてまろやかになっていきます。
ただ、年が経つにつれ価格はどんどん上がっていくため、当店では2001年のお茶が最古です。
この生茶というのが熟成させることで価値が上がるとされているため、投資対象になったりします、、ただ、品質が元から悪いお茶は置いておいても良くなることはほとんど無いため最初の品質の見極めが非常に重要になります。
また、一昔前はできたての生茶は(時間をおくことが前提であるため)とても苦くて飲めたようなモノではなかったらしいのですが、近年の生茶はすぐにそのままおいしいものが増えていると思います。
昔とは作り方がちがく、晒青直茶を作る際に一手間加えている(揉捻を行った後に積み上げておいておく)お茶が多いためです。
ただ、それを良しとするかは茶人の中でも意見が分かれており、昔ながらの苦いプーアル茶を熟成させたものこそがホンモノであり、今のプーアル茶は緑茶だなどと言う茶人もいます。
とはいえ、そこは好みの問題な気がするのであまり、攻撃的にならずに各人で好きなものを飲んだら良いと思います。私のお店では古い昔ながらのものも新しい現代風のお茶も両方そろえております。
私は、新しいプーアル生茶から入った人間なので現代風のお茶の方が好きです。
当店にある、できたての生茶は苦みは抑えられ甘さが優位に立つようなお茶ばかりです。
そのため、今まで黒いプーアル茶(熟茶)が苦手だった方も飲みやすいお茶になっております。
また、新しいプーアル生茶は旨味成分は多くありその点から日本人は新しい、プーアル生茶の方が好きかもしれません。
さいごに、「あれ?緊圧の工程がないプーアル生茶の散茶って言うのが普通に売ってるけど・・??」と言う疑問をお持ちの方に。
はい、それはプーアル茶ではありません。プーアル茶になる前の晒青緑茶。すなわち緑茶です。
当店ではそこは明確に区別しております。
結構その辺の区別はお店によって立場が異なり、「散茶もプーアル茶だ!緑茶と同じとはけしからん!」と怒り出す人もいれば逆に「この散茶はプーアル茶にとって大事な工程が抜けている。」と言う立場を取る店もあります。ちなみに、店主がよく取引をしている上海の問屋の方は後者であり散茶をプーアル茶と認めてません。ただ、雲南省の農家などに会う案内を手配してくれた別のお店の方は特に何も言わず「○○(産地)のお茶」として販売しております。
農家でも、その辺は曖昧になっていることが多いです。
ただ、私は専門店という立場上、中国の標準に従って販売したいと思います。
プーアル熟茶
次にプーアル熟茶というものについて説明します。
熟茶の製法は
晒青緑茶を積み上げて水をかける→茶葉が水を吸うことにより発熱する→微生物が集まる→そのままだと茶葉が焦げるためかき混ぜる
という行程を経ることで強制的に数十年分の発酵をさせたお茶になります。
そのため、水色は黒く、イメージ通りの黒茶です。
日本で安く販売されているタイプのお茶はほとんどがこのタイプのお茶であり、「かび臭い」「蔵の味」とか言われるお茶になります。
もちろん品質が良いものはそのかび臭さが軽減されているのですが基本的には同じような感じです。
実はこの製法は1970年代に生まれた新しい製法であり、新しいお茶です。
生茶だとこのような風味を出すために30年とか40年かかるためそれを一気に進ませて30~40年置いた風の味を出すことにしてます。
熟茶は、もうほとんど成熟された状態になっているため、時間が経っても価値が上がることはほとんどありません。
そのため、台地茶などから作られることも多いです。
まとめ
・プーアル茶は雲南省の特定の地域の茶葉からできた雲南大葉種のお茶である。
・プーアル茶は晒青緑茶に後発酵の工程(渥堆など)を加えて作ったお茶である。
・プーアル茶には生茶と熟茶がある。
・生茶はほとんど晒青緑茶だが、緊圧の工程を加えることで後発酵を開始させただけのお茶である。年々熟成させることで味の変化があり値段も高くなる。
・熟茶は、晒青緑茶に水をかけ微生物を繁殖させ熟成を早めたお茶である。出荷時には熟成は終わっているため年々の味の変化は少ない。
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